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『新たなものさし、新たな出会い』

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先週の絵の教室に初めてこのセーターを着ていった。
「わぁ、どうしたの。 その色。でも、似合っている!」
何人かの友達に声をかけられた。

遥か昔、長男が1歳の頃、
確かもっと派手なショッピングピンク(当時そう呼ばれていた)のニットのワンピースを着ていたことがあった。
その時以来この色を全く着た覚えがない。
しかし、両親や祖母、義母たちの生きた時間を考え、自分に残された時間を考えるようになった今、
何かこれまでとは違う考え方や物の選び方、生活の仕方などに挑戦したくなったのだった。

で、まずは本当に小さなことからと、新しく買ったセーターの色を思いきって変えてみた。
今までだととても買わなかったような色である。
たかだか一枚のセーターだが、何か今までと違う色を着てみたかったのだった。
何か心がうきうきするような色がいいなぁと思っていた。
そんなに値が張るものではないごくリーズナブルな日常着としてのセーター。
早速絵の教室に着ていったのだった。
成功だった。
みんなの反応より、自分の気持ちが明るくなった。
そして次なる挑戦へとひそかに舵を切る勇気もちょっぴり芽生えたのだった。


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その絵の教室の帰り、いつもの本屋さんに立ち寄った。
ここしばらくは忙しく、帰りはいつも店の前を横目で眺めながらの素通りだった。
本屋さんに入る時はなぜか心が弾んでいる。
何時もの雑誌コーナーの本棚のところに行くと、「婦人之友」1月号が並べられていた。
「あっ、今日は発売日だったのだ」と思い手にとった。

『その“モノサシ”変えてみませんか?』
表紙の大文字が目に飛び込んできた。
小見出しには次のように書かれていた。
《社会や家庭、自然環境の変化の中で、
これまでの「モノサシ」では測れないことが増えています。
暮らし方、働き方、学び方、休み方など、
新しく、未来につながる生き方をつくる
「モノサシ」を探します。》

パラパラとページをめくってみると、
地球のモノサシという題での座談会をはじめさまざまな分野の人のモノサシについての考え方が掲載されていた。
中でも興味深く思ったのが、「イタリア・ボローニャ 60歳の大学1年生』という記事だった。
ジャーナリストで、毎日新聞の元論説委員であった中村秀明さんの文章だった。
彼は37年余り勤めた新聞社を早期退職し、2018年10月から1088年創立のボローニャ大学の新入生として、やはり同じ大学で学ぶ奥さんとともにイタリア北部ボローニャに暮らしている。

彼の言葉によると、有力新聞の元論説委員であったという経歴などなんの役にも立たない世界で若者たちの熱意に気おされ、もはや何者でもなくなったいい歳の彼の生活は、落ち着かなく、正直心細く感じるものらしい。
入試に受かったとはいえ、大学の授業にはついてゆけず、必修科目もチンプンカンプンらしい。
でも、戸惑いと混乱の授業の中にも驚きや刺激があり、この地ならではの視点を学ぶこともでき、
また 一歩大学の外に出てみてもまた驚きに出会うと書かれていた。
その一例として還暦の記念にシチリアを旅した時に偶然出会ったある式典について書かれていた。
第一次世界大戦の終結を記念した恒例の「反戦の集い」であり、そこで知った日本とイタリアの戦死者(犠牲者)への考え方の落差(へだたり)に驚いている。
広場には高さ数メートルの古びた兵士の像があり、「われわれの犠牲は平和をもたらさず、何もなさないだろう」という文意の碑文が書かれていた。無意味な死を生むだけの戦いを繰り返すなと戒めているらしい。イタリアは第一次大戦で多くの犠牲者を出したのち、ファシズムを生み、第二次世界大戦で国内各地も戦場となった。そのことを意味しているらしい。
一方私たちの国では、戦死者を国に身を捧げた「英霊」とたたえ、そのおかげで今の繁栄があると言い、不戦を誓う。

二つの国の考え方がなんと違うことか、読んでいて私も思わずそう思ってしまった。

中村氏は最後に次のように結んでいる。

「私はもはや何者でもない60歳の大学1年生だ。縛られない身軽さが心地よいといえば強がりになる。だが、ほとんど用をなさなくなったこれまでのものさしにとらわれず新たなものさしを探し受け入れようとすると、発見や出会いがある。それは自らの新たな可能性を感じる時でもある。

中村氏の勇気ある決断・行動と私のつまらぬセーター選びを同次元に並べるのは気恥ずかしいが、
これから先の時間を考え、一歩前へ進みたいと思った時、
いままでの古いものさしをちょっと横に置いて新しいものさしを探すのもいいのではないかと思った。
きっと新しい出会いがあり、新しい経験ができるかもしれない。
何よりも積極的に前進しようと思う気持ちがわき起こるかもしれない。
そう思ったのだった。
新しいセーターの色に勇気をもらった日だった。





Commented by hanamomo60 at 2018-12-19 17:53
こんばんは。PochiPochiさんの今日の記事を見た途端、「あ!私の大好きな色だ!」と思いました。
私はこのショッキングピンクが大好きなのです。
セーターはもちろん、冬の手袋、マフラーはこの色を身につけています。
気持ちが明るくなるでしょう!いい色です。
(でも今日はユニクロの細い縞々のタートルに黒のジーンズです)
中村さんのこと、じっくりと読ませてもらいました。
そしてなるほど、と頷きながら読ませていただきました。
ボローニャは国際アンデルセン賞の授賞式が行なわれるところ、いつか行ってみたいところです。
すごいですね~60歳で外国に学びに行く。
イタリアと日本のかつての戦争に対する思いの違いもわかりました。
>戸惑いと混乱の授業の中にも驚きや刺激があり、この地ならではの視点を学ぶこともでき、また 一歩大学の外に出てみてもまた驚きに出会う
なんて素敵な事でしょう。
私にも何かできるかもしれないと勇気付けてくれるような言葉ですね。
明るい色のセーターきっとお似合いだったのでしょう。
私もこの頃明るい色を身につけるようにしようと思っていたところです。
本当は髪の毛も染めずにグレーのままがいいのですけれど。
それはおいおいに考えて行く事にして、とても元気が湧く記事でした。
PochiPochiさん、ありがとうございました。
Commented by haru_rara at 2018-12-19 21:38
きれいな色ですね!
PochiPochiさんはたしか、明るいブルー系もお好きでしたよね。
鮮やかな色がお似合いで羨ましくなります。
明るくきれいな色を身につけると気分もぐんと変わりますね。

人生の先輩方が、新しいことを始めておられるのは元気をいただきます。
このきれいなピンクのセーターも、60歳で外国で学ぶことも、本当に素敵。
私も古いものさしに囚われずに、心は自由に、明るく生きたいなと思いました。
Commented by PochiPochi-2-s at 2018-12-20 10:01
☆ hanamomoさん

まあ!
momoさんの大好きな色でしたか!
きっとよく似合われるのでしょうね。
それと鉛色の冬空の下ではこんな明るい色を身につけると、
心も軽くなるでしょうね。
私も最近はこの色ばかり着ています。
もちろんちょっとお出かけの時ですが。
今日もこれからこのセーターで出かけます。

先ず、すごい人だなぁと思いました。
そしてmomoさんが感じられたように、私もまだまだ何かできるかもとも思いました。
以前もう随分前にも『60歳からのパリ留学』という本を読んだことがあります。
その人(男性)も長い間のサラリーマン生活で、退職と同時に憧れていたパリに行きたい
、そこで生活してみたいと思ったそうです。当時は60歳が退職の年でした。
勇気をもらえる本だなぁと思ったのです。
常にどこか遠くへ、まだ見ぬ国へ行ってみたいと思っている私には、魅力的な本であり
記事でもあります。
まだまだ気持ちだけは若いのかなぁと…。
実際はこの前の打ち身のところがまだ痛くヒイヒイ言ってますが。(笑)

グレーヘヤーも素敵ですね。
でも私には似合わないと、相変わらず自分でヘヤーマニュキアでごまかしています。
水泳教室が始まると段々と色落ちしていきますが…。
Commented by PochiPochi-2-s at 2018-12-20 16:05
☆ haru_raraさん

私にはめずらしい色です。
でも、気に入りました♪
きょうも雨だったのでこのセーターを着てちょっと出かけていました。
一番好きな色はトルコブルーです。
義母は生前よく“神戸カラー”だと言ってました。
神戸の商店街を歩いていると、確かにこの明るいブルー系の服や小物が多いです。
港町神戸の持つ明るさからかあるいはマリンブルーからくるイメージのためか。
大阪のカラーとはかなり違います。
それぞれにいいところもあり好きなのですが。

ありがとう♪
心は自由ですから。
haruさん自身のものさしを見つけ、自由に、明るく生きてください。
そしてステキな作品を!

今日はミラノで声楽を学んでいる男性のワン・コイン コンサートでした。
1時間のコンサートで日本語とイタリア語の歌を8曲。
若さがはちきれんばかりで、楽しかったです。
生活を楽しみたいと思いました。
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by PochiPochi-2-s | 2018-12-18 15:36 | 思い | Comments(4)

生きている喜びを感じられるように生活したい


by PochiPochi-2-s