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「四人ぽっち」欧羅巴ズッコケ家族の旅 (1982年夏) (37)

一、“セテベロ”号

8月6日(金)、10時42分、TEE68“セテベロ”号は私たちを乗せフィレンツェを後にした。
前日に座席予約を済ませておいたので出発間際まで妻は土産物の品定め。
(姪(めい)に可愛い革製ポシェット二個を買う)
私は駅構内の両替所で通貨交換(エクスチェンジ)にと列に並ぶ。待つことかなりの時間。やっと順番が来るや、「リラを外国通貨には替えられません」とそっけない断り。
この国の大幅な貿易赤字、外貨獲得のための政策的配慮を思い知らされた事件だった。


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マックちゃんの絵・「セテベロ号」


“セテベロ”号内部は実に小綺麗(こぎれい)に整えられている。内装は淡い藤色で統一されている。座席(シート)の布張りからカーテンに至るまで。
さすがは、ファッション界をリードする国とあってシックなセンスでミラノまで約三時間。車窓の景色は、ウィーン・フィレンツェ間と同様、乾燥した赤ある。
それまでに乗車した列車はすべて六席一室のコンパートメントだったが、“セテベロ”号は二室が一つにまとまり中央の壁がなく開放的である。
座席(シート)はこれまでになく豪華で、位置を自由に変れるから気楽な旅が楽しめる。
隣に乗りあわせた米人旅行者が席越しにマックちゃん、モッちゃんに相手になってくる。
彼らもフィレンツェでは、“グッチ”を買ったらしく真新しいバッグを網棚に置いていた。
ミラノまで三時間。車掌の景色は、ウィーン・フィレンツェ間と同様、乾燥した赤褐色平原が続いていた。

二、国境駅“シアッソウ”

“セテベロ”号は、13時55分、ミラノ駅に到着した。
イタリアの空はどこまでも澄みわたり、空気も乾いている。
車窓に映る景色は、まるでソフィア・ローレンの「ひまわり」のようだ。
車内は実に快適。子供達は寝込んだせいか元気溌剌(はつらつ)としているのは助かる。


ミラノ駅もパリのリヨン駅と同じく、プラットホーム全体を大屋根(ドーム)が覆(おお)っていて、“国際列車”が発着する毎に各国の乗客が列車から吐き出され、吸い込まれてゆく。
私たちも列車を乗り換え、スイスへ「再入国」することになる。
ダーク・グリーンの車体、スイス国章と“SBB・CFF”(スイス国鉄)の記号がなつかしい。
首尾よく、急行290に乗り継ぐことができた。


15時35分、列車はミラノ駅を出発した。待ち時間約1時間半は、「駅弁」を食べたり、私たちにはなじみの窓際販売のアイスクリームを食べたり、結構楽しくすごせた。
出発後約1時間、トンネルをぬけるとすぐに列車は徐行運転。
スイスの旗が目に入ってきた。間もなく列車は、「シアッソウ駅」に着いた。
プラットフォーム中央に鉄製柵がセットされてある。「こちら側」がイタリア、「あちら側」がスイスということだろうか。
仏語、独語、伊語のアナウンス。「出入国」と「税関」手続きの案内である。
イタリア・スイスの「審査官」が車内に乗り込み、パスポート、チケットのチェックを済ませる。
いつもながらの「出国」「入国」の国境風景である。


国境駅「シアッソウ」をすぎると車窓風景は全く変わる。
山と緑の国スイスである。といっても、霧雨のために窓外の景色はほとんど見えない。
加えて山間地を走っているためかトンネルが多く車内もむし暑く気分が悪くなってきた。
「ルガーノ駅」からは私たちのコンパートメントにベルンへ行くおばあさんとお孫さんが乗り込んできた。
列車の轟音に遮られながらもルツェルンまで会話を楽しんだ。(続く)



【あのね日記】
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《古いアルバムより》
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フィレンチェ駅構内
9年前、再びこの駅からナポリに向けて電車に乗ったが、
当時の面影はなく駅構内はかなり変わっていたように思った。


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セテベロ号


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コンパートメントの椅子に座って
さあこれから再びスイスへ!



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若かった‼︎









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by PochiPochi-2-s | 2018-08-30 22:04 | 「四人ぽっち」欧羅巴 ズッコケ家族の旅 | Comments(0)

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