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飛び上がらんばかりだった電話

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ウバユリに少し色をつけてみた。


気分を変えようといつものレストランでのランチを終え、帰宅したちょうどその時電話が鳴った。
受話器を取ると、
「もしもし、S子ちゃん???…………」
あっ!
嬉しくて飛び上がらんばかりだった。
電話の向こうから聞こえてきた声は、あのA先生の声。
あのいつもの聞き慣れた声。
お元気になられたのだ。よかったなぁ。ほっとした。
そのあとはA先生も私もお互いに喋りたいこと、聞きたいことがいっぱい。
もちろん和歌山弁で。


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「このゼリーならば、果物も入っているし美味しいから食べやすいだろう。
施設では食べたいものも自由にならないだろうし、欲しいものを買うために外に自由に出られない。
きっと気に入られるはず」

そう思い、一昨日、絵の教室の帰りにデパートにより、モロゾフの果物入りゼリーをA先生宛に送っていた。
和歌山だから2、3日もあれば着きますとは言われていたが、まさか翌日に届いていたとは思ってもいなかった。

「最初見た時ね、I さん? 誰やろ。こんな私にこんなおいしそうな品を送ってきてくれるなんて。
まさかS子ちゃん? そう思って半信半疑で電話をかけたんよ。
よかったぁ〜。『あんた I さん? I さんていったいどちらさんですか』て言わんでほんまによかったわ。
声でわかった。最近物忘れがすごくて自分でも嫌になるんよ。ボケ婆さんになってしもたわ。
気つこうてくれはったんやなぁ。
神戸のハイカラなお菓子、お父さんにお供えしてから喜んでいただくわ。ありがとう」

電話の向こうからかつての、お元気な時の明るい喋り声が聞こえてきた。
ご主人を亡くされ、「残る心をいかんせん。もう少しの間静かにしていたい」
と葉書に書いてられた先生からの突然の電話と明るい笑い声。
嬉しくてつい大声ではしゃいで電話が切れるまで話してしまった。

「昔の話をしたいと思う時があるが、周りにはそんな話をできる人はいなくなってしまった。
今日は懐かしい人の名前(前回一緒に訪ねていったTさんやMさん、 S先生)をたくさん聞いて嬉しかった。
今度きてくれる時は事前に事務所を通してほしい。こういう施設はわりときっちりとしているから」

ご主人を亡くされ、息子さん家族は他府県に住み、まだまだ忙しい。
お嬢さんは関東地方に住み、彼女のご主人の介護で母親にまで手が回らない。
訪ねる人もほとんどなく話し相手も少ないのだろう。
もう少し涼しくなったらこの前のメンバーでもう一度訪ね、昔のことなど話し、
大いにはしゃぎ賑やかに喋ろうと思ったのだった。

「あんた声が変わったなぁ。昔はもっと張りのある声やったのに。元気出してや」
「先生、私ももう来年は70よ。声の調子もも変わるわ」
「私の感覚から言っても70ぐらいで年寄りとは言えんで。もっと元気出しなはれや」
どちらが励ましているのか励まされているのか、最後にはわからなくなってしまった。
でも、嬉しかった。天にも昇るような気持ちだった。

気分がハイテンションになり、電話が終わったあと描きかけのウバユリの絵を取り出し、ほんの少しだけ色をつけてみた。
きっといい絵になるだろう。
そんな予感がした。
さあ明日からまた少しづつ色を塗っていこう。





Commented by jarippe at 2018-08-11 17:20
残る心をいかんせん・・・・ 堅ですね
この句は心に浸みています
良かったですね 
声って変わらないものですね 声と口調
何年もあって居なくても分かりますものね
お訪ねになったらお喜びの事でしょうね
Commented by hanamomo08 at 2018-08-11 23:48
よかったですね。
A先生、とても嬉しかったでしょうね。
お電話をかけるということは心がだいぶ元気になっている証拠ですね。
ゼリーを食べるときもきっと PochiPochiさんを思い出してくださるでしょう。
Commented by PochiPochi-2-s at 2018-08-12 10:27
☆ jarippeさん

おはようございます。
この時代、いつも“ショーコちゃん”でしたから、
現在の姓はピンとこなかったのでしょう。
はがきのやりとりをしているのにねぇ……。
仰るように声、喋り方は変わらないから最初の一声で
ああやっぱりと思ったらしいです。

9月半ばにともう計画が進んでいます。
会えれば嬉しいのですが。会えることを願っています。


Commented by PochiPochi-2-s at 2018-08-12 10:31
☆ hanamomoさん

よかったです!
昔の声、話し方でした。
最後に”あんた元気ないね。声に張りがないよ“の一言。
きつかったです(笑)
いい先生なんですよ。本当に。
Commented by Deko at 2018-08-13 10:32 x
何十年経っても先生との素敵な交流を持たれているのですね。
美味しいものが贈り届けられるこんな状況を母はいつも夢にぼたもちと言っていましたよ
先生も嬉しかったことでしょうね。何十年経っても教え子の記憶のとどまっておられる先生冥利の尽きますね。
Commented by haru_rara at 2018-08-13 21:40
A先生は90歳になられるのですね。なんと凜としたお方でしょう。
前の記事を拝読して、素晴らしい先生!と思いました。
何十年たってもこうして生徒さんと交流のあること、素敵ですね。

私も恩師と電話で話したばかりですが、嬉しいものですね。
雪になる前に、会いにいこうと思いました。
Commented by PochiPochi-2-s at 2018-08-13 23:06
☆ Dekoさん

こんばんは。
「夢にぼたもち」と言うのですか? 初めて聞きました。

この先生は特別ではなく、みんな同じようにいい先生たちでした。
田舎の学校で、一学年110人ぐらいの小さな中学校でした。
先生の数は校長先生、教頭先生、事務員さん(1人)、用務員さん(1人)を入れても
15人。当然各教科の先生の数は足りず、1人2教科を教えてられました。
英語と音楽、社会と英語、技術家庭と英語のように。体育ですら第一免許は
社会の先生でした。先生方はほとんどみんな和大の教育学科を出ていたので、
教職免許も第一(専科)と第二の2つを持っていました。
中3の時だけ第一免許を持つ先生が各教科を受け持ってましたよ。
それと国語と数学だけは第一免許を持っている先生が受け持っていました。
私の1年の時の英語の先生は本来は社会科で、2年の時の英語の先生(今回のS先生)は
本来は音楽専科でした。今だったら到底許されない事だろうなぁと思います。
でも、楽しかったし、先生方も生徒もみんな顔見知りでよく知っていました。
生徒は何しろ小学校から一緒で、今で言う小中一貫の学校と同じで す。生徒が変わらず
学校の場所だけが変わったのでした。下手すれば幼稚園から一緒という人も半数
ぐらいいましたから。
幸せな時代でした。
Commented by PochiPochi-2-s at 2018-08-13 23:14
☆ haru_raraさん

こんばんは。
前の記事も読んでくださってありがとうございます。
本当に心に残るいい先生なんですよ。
今度は事前に連絡して会いに行こうと思っています。
電話で昔の話をできる人が周りにいなくなったと言ってられたので、
思いっきり昔の話をして楽しんでもらおうと思っています。
9月中頃にどうだろうかと言う計画が進みつつあります。

haruさんも恩師に先生にぜひ会いに行かれるといいなぁと思っています。
先生は大喜びされると思いますよ♪
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by PochiPochi-2-s | 2018-08-10 22:53 | 日記 | Comments(8)

生きている喜びを感じられるように生活したい


by PochiPochi-2-s