雨に煙る裏山
今日も朝から一日中雨が降り続いた。
20年以上前この家に引っ越してきた年に一度このような大雨があり、
裏山の崖が崩落したことがあった。
山際に建っている友人の家のリビングに突然土砂が流れ込み、大変な目にあったのを思い出す。
幸い友人夫婦は無事で怪我もなく、被害はリビングだけですんだのだった。
市は砂防ダムをはじめ、災害防止のための防災工事を何度も繰り返しているが、
果たしてその効果があるのだろうかと思うほどの半端ではない雨量である。
今日も一日家から出ることもなく過ごした。
紫蘇ジュースをもう一度作ったり、ジェノベーゼを作ったりしようとは思うのだが、
なぜかその気にならず午前中はなんとなく時間が過ぎていった。
ふとデッキに目をやると、外は激しく雨が降っていた。
父の風蘭に今年もたくさんの蕾がつきもうすぐ咲き始めるだろう。
夕方になると辺り一面この甘い香りで満たされる。
なんとも優雅な花である。
その風蘭の蕾も雨に濡れ、たくさんの雨露が付いていた。
今にも水滴が落ちそうだった。
午後からはやはり絵を取り出して絵の時間になった。
描きかけのヤマモモの絵が気に入らず、もう一度描きなおそうと思ったのだった。
夫は2階のファミリールームでレコードを聴いている。
私はひとりリビングのテーブルで絵を描いた。
それぞれなんとなく雨に対する不安があるのだが、口には出さず好きなことをして時間を過ごした。
こんな時に絵を描くなんてと自分でも少々呆れるのだが、この時間が心を一番落ち着かせるように思うのだった。
さあ、いつ完成するだろうか?
朝から夕方まで絶え間なく雨が降り、不安に駆られた一日だった。
しかし嬉しいこともあった。
8つ目のヤマユリの花が咲いた。
蕾が8つ付いていたから今日のこの雨の中、全部咲きそろったことになる。
激しく降る雨のなかきてくれた自然ゴミ回収のおじさんが「見事ですなぁ!」と声をかけてくれ、
「ありがとう」とおもわず微笑み返した。
今雨は小止み状態。
このまま止んでくれたらなぁと心の中で願っている。