昨日は普段のんびりの私にとっては朝から“超“忙しい日だった。
昆虫館に行くのだと言って朝から遊びに来たリョウちゃんとエイちゃんの相手と
夕方のコンサートが重なったのだった。
「何もない時は何もないのに、重なる時は重なるものだ」
半ば諦め半ば嬉しく予定をこなしたのだった。
昆虫館で思いっきり遊んだリョウちゃん、エイちゃんと娘を駅まで送り、
夕方4時半過ぎ急いで6時開演のコンサートに出かけた。
佐渡裕指揮とあってか2000席あるKOBELCO大ホールは満席。
その上観客は60代以上のシニア世代が多かった。
このコンサートホールがある西宮を中心とした阪神間にこんなに多くの音楽好きのシニアが住んでいるのかと驚く一方で、高齢になっても夫婦であるいは友人と、あるいは娘や息子といっしょに音楽を楽しめるのは、なんと平和で幸せなことかと思ったのだった。
『音楽の贈り物』とは?
そう思いながら開演を待った。
佐渡裕ゆかりの二つのオーケストラ、西宮芸術文化センターのPACオーケストラと
一回の演奏会で、ひとりの指揮者がふたつのオーケストラを指揮するという珍しい試みだった。
プログラム第1番のモーツアルト交響曲第41番「ジュピター」をPACが演奏し、
第2番のドヴォルザーク交響曲第9番「新世界より」を日本センチュリー交響楽団が演奏した。
第3番目の最後のプログラムラヴェル「ボレロ」は二つのオーケストラの合同での演奏だった。
これこそがまさに“音楽の贈り物”なのかもしれない。
ジュピターはさておき、馴染みのある「新世界より」と「ボレロ」。
誰もがよく知っている曲で、特にボレロはその演奏される音に一気に引き込まれていき、ハッと気付いた時には音は最高潮に達していた。ホール全体が何かしら熱気を帯びたようなような雰囲気に包まれていた。
小太鼓がボレロのリズムを刻み、フルートが主題を奏でる。クラリネット、ファゴット、小クラリネット、オーボエと続き、トロンボーンのソロまで登場する。そこに弦楽器も加わり、音がだんだんと厚みを増してゆきながらクライマックスへと高まってゆく。
二つのオーケストラの合同演奏だったから、その後の厚みはさらにまし、会場全体がそのすばらしい、重厚な音で満たされていた。圧倒される思いであった。
今日もまたあの小刻みなリズムが体の中で鳴り響き、ふとすると自然とリズムに合わせて体を動かしている。それほど深く心に残る音であった。
「新世界より」の第2楽章は誰もがよく知っている部分で、『遠き山に日は落ちて』や
『家路』として知られている。イングリッシュホルンによる郷愁に満ちた音は聴く人の心に何かしらの想いを感じさせる。
アンコール曲は、宝塚歌劇団の歌として有名な「すみれの花咲く頃」(宮川彬良・作曲)。
会場が盛り上がったのは言うまでもない。
サービス精神旺盛な佐渡裕氏の演出だと思った。
この地域には宝塚ファンが多く住む。
演奏会が終わり、駅に向かうシニアの人たちの顔がそのことを物語っていた。
あっという間の心に残る2時間余だった。
日本センチュリー交響楽団の演奏、ラヴェル「ボレロ」はここ →
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ドヴォルザーク「新世界より・家路」