"若さ!" - オーボエとコントラバスの特別リサイタル -
2017年 06月 10日
19:00開演と同時に、兵庫県立芸術文化センターの神戸女学院小ホールに若いエネルギッシュな演奏が流れた。久しぶりの小ホール。小さいが音響は抜群。何よりも演奏者を間近で見ることができ、その息づかいまでも感じることができる。演奏者と会場が一体となるのが手に取るようにわかる会場である。約400席の会場はほぼ満席だった。
「PACオーケストラリサイタルシリーズって?」そう思って申し込んだのが3月半ば過ぎだった。Web siteによると、〈毎年恒例、シーズンの最初に行われる団内オーディションで選ばれたPACメンバーによる特別リサイタル〉と説明されていた。今回の登場者は、PAC2年目のコントラバス奏者=浅野宏樹さんと、昨年9月入団のオーボエ奏者=吉村結実(ゆみ)さんの二人だった。たまたま二人とも大阪出身、しかもコントラバスの浅野さんは 地元西宮市からすぐ近くの池田市出身だった。そんな若い二人に、全く知らないとは言え、何となく親しみを感じるのは大阪人独特の贔屓感情なのだろうか。演奏会は和やかなムードで始まったのだった。
前半の1時間は浅野さんのコントラバス演奏。「コントラバスってこのような音なのか」チェロの音は知っていてもコントラバスの音は知らなかった素人の私には、その奏でられる音が優しく聞こえたのだった。ピアノ伴奏の音ともよくあっていた。心地のよい音色にいつの間にか曲の中に引き込まれていった。
後半の1時間は吉村さんのオーボエの演奏。ピアノ伴奏で吹くオーボエの独奏。「ええっ、オーボエの独奏ってこんなにエネルギッシュなん?」その吹き出される柔らかい音に似合わず、演奏している姿は力強く、エネルギッシュだった。息を吸い込む音まで聞こえてくる間近での演奏会。始まるとすぐにその音に引き込まれてしまった。彼女の発する若さのパワーを浴び、こちらまで元気をもらえるような演奏だった。ただ一言、「すごいなぁ…」。ブラボーの声が会場のあちこちから飛び、拍手がなり渡った。
アンコールもいうまでもなくすばらしかった。最初はオーボエの独奏で、続いてせっかくだからとコントラバスの浅野さんも加わってピアノとの3人での演奏。会場に大きな拍手が鳴り響いたのはいうまでもないことだった。
若さ溢れる演奏スタイルと音色に心満たされた時間、まさに"至福の時"を持つことができた。これからもこのような心が豊かに感じられる日をできるだけ多く持ちたいなあと秘かに思ったのだった。
帰り際、会場出入り口のところに演奏者二人が並び、駆けつけた友人たちと談笑し、一緒に写真を撮っている姿は見ていて微笑ましく、「若いっていいなぁ」と少々羨ましくも思ったのだった。
【プログラム】
• 浅野宏樹 (コントラバス)グリエール : 2つの小品「間奏曲」と「タランテッラ」シューベルト : アルペジォーネ・ソナタ イ短調 D.821
•吉村 結実 (オーボエ)テレマン : 12のファンタジーより第8番 ホ短調 TWV40:9パスクリック : ドニゼッティの歌劇「ポリウート」の主題による幻想曲ブリテン: 世俗的変奏曲
《アンコール曲》・吉村結実 シューマン : 献呈・吉村結実 & 浅野宏樹
ラフマニノフ : ヴォカリース
生きている喜びを感じられるように生活したい
by PochiPochi-2-s