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風を感じる

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朝水遣りが終わり、ふと欅を見上げた。
「あらっ、いつなく葉が揺れている」
そう思っていると気持ちのいい風が頬をなでた。
緑の葉の中を通りぬけてきた風はひんやりとして気持ちがよかった。
思わず歌をくちずさんだ。
♪ 誰が風を 見たでしょう …
「風」(クリスティナ・ロセッティ・詩、西条八十・訳詞、草川 信・作曲)

誰が風を 見たでしょう
僕もあなたも 見やしない
けれど木の葉を 顫わせて
風は通りぬけてゆく

誰が風を 見たでしょう
あなたも僕も 見やしない
けれど樹立ちが 頭をさげて
風はとおりすぎてゆく

小学校で習い、気に入ってよく歌っていた。
「やっぱり風ってあるんや。
目には見えないけど、髪の毛を揺らしたり、葉っぱを揺らしたりして通りぬけてゆく。
頬にあたると気持ちがいいもん。浜に行くと潮のにおいがする潮風も感じるし、山の池に行くと水面にさざ波ができている。クリスティナ・ロセッティってすごい人やなぁ。こんなことを詩にするなんて」

クリスティナ・ロセッティという詩人の名前を初めて知り、詩に興味を持ったのだった。

その時以来『風を感じる』ことが好きで、
何処に行っても、どんな場所でも、そこに流れる風を感じたいと思ったものだった。
学生時代よく登った山の上で感じた風、友人と二人で能登半島を歩いて一周した時に感じた風。初めての日本海から吹く風だった。どうしてもそこを流れる風を感じたいと思い行った万里の長城。遠くモンゴルや西域からの風が流れてくるように感じ、はるか昔の世界に思いを馳せた。ヨーロッパではさまざまな街にある教会の高い塔の上に昇り、そこを流れる風を感じた。またポンペイ遺跡の中を通りぬける風には何とも言えないものを感じた。ドナウ川に架かるセーチェーニー鎖橋(ブダペスト)やブルダヴァ川(モルダウ川)に架かるカペル橋の上でも川面を流れる風を感じ、その国の歴史を思った。山好きの私はスイスの山で感じた風にはまた格別の思いを持ったものだった。しかし振り返ってみれば、一番身近に感じる風は、やはり小さい時毎日のように遊んでいた砂浜を吹きぬける潮の匂いいっぱいの潮風、防風林の松林を通りぬける松葉の匂いのする風だと思う。

今もデッキの上を気持ちのいい風が通りぬけている。
ポチが大好きだった、西側の山から流れてくる風。
夏の暑い時でも冷たくでひんやりとした風。
夕方 その風が流れてくる方に鼻先を向け、
心地よい風を感じながらスヤスヤと眠っていたポチ。
長閑な光景だった。

もう一度くちずさんだ。

♪誰が風を 見たでしょう
僕もあなたも 見やしない
けれど木の葉を 顫わせて
風は通りぬけてゆく



クリスティナ・ロセッティ「風」






Commented by Deko at 2017-06-05 11:44 x
おはようございます。この詩は西条八十訳詞なのですね。風が吹き渡るさまがよく詠まれていますね。山や森に入ると風が吹き渡る気をかんじますね。この時期は家にいても緑の中を風が通り抜けます。人間の証明に出てくる母さんあの帽子どうしたのでせうね碓氷峠を通るとその詩(西条さん)が浮かびます。
Commented by o-hikidashi at 2017-06-05 21:05
渡る風…強風は嫌だけど日常でも旅先で感じる風薫る風がありますよね。
ブログタイトルを考えたとき、「春のよき日に」「風薫る」「5月の風」
などと真剣に考えたものです。
こちらのタイトルを拝見したとき、ちょっと親近感。^^
文にモルダウ川という言葉があって驚きました。
わあ同じ日に同じ川のことを!(昨日朝から書く予定だったのですが)
♪ 誰が風を 見たでしょう …、良き歌の紹介と素敵な文ありがとうございます~。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-06-06 10:41
☆ Dekoさん

昔よく歌いましたね。
クリスティナ・ロセッティの詩に興味を覚えたきっかけの詩です。
Dekoさんのお庭も木や草花が多く、きっと風が気持ちいいだろうなぁと
想像しています。
森村誠一の「人間の証明」、この台詞が印象的でしたね。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-06-06 11:07
☆ o-hikidashiさん

あらそうでしたか。
でも私は今のうららさんのブログタイトル好きですよ。
なんとなくですがうららさんにぴったりだと思っています。
偶然のシンクロでしたね(笑)
ぜひプラハに行ってモルダウをカペル橋の上から眺めてくださいね。
プラハでモルダウの演奏を聴くのもいいかもしれない。
うららさんへのコメントにも書きましたが 、
春江一也さんの「プラハの春」をぜひお読みになってください。
まだ読んでられなかったらですが。
この歌大好きなのです!
小さい時よく歌ってました。
Commented by nagotu3819 at 2017-06-08 12:12
私もこの歌が好き。思い出があります。
まだ幼かった時に、多分ジェーン台風だったと思います。
周りに防風林が育ってもいない時で、もろに家に吹き付ける風…、小さい手でガタガタするドアを押さえていた思い出があります。離れて建てられていた鳥小屋が飛んでいきました。
以後、風が怖かったのでした。怖がる私に父はこの歌を歌ってくれました。
麦畑のまだやわやわしたくらいの麦の頭を風が渡って行くのを指さしながら…。
これで風の正体をみてこの詩の味わいを心に刻みながら。
父の心をいつまでも思い出すのです。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-06-09 12:21
☆ nagotuさん

まあお父様との思い出が詰まった歌だったのですか。
この歌、好きなんですよ。

小さい頃は和歌山は台風に通り道でした。
台風が来るとわかると、父は屋根に上り二階の窓に
板を打ち付け、中からは畳をめくり窓に当て、窓を支えたものでした。
忠久すら台風が通り過ぎるのを待った。
室戸岬から紀伊水道をとおりぬけたときが和歌山にとって一番の打撃になります。
今回は足摺岬に上陸、この言葉に子供ながらどれだけホッとしたことか。
その時の安堵感wpいまだに覚えています。
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by PochiPochi-2-s | 2017-06-04 16:20 | 思い | Comments(6)

生きている喜びを感じられるように生活したい


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