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モノクロの表現力

一日雨。

心に留まる記事を見つけた。

《最上敏樹さんの連載 「未来の余白から⑦」
モノクロ ー その豊かさ、そして……… 》

そこには、絵、映画、文章のそれぞれの世界における“モノクロ”と心に刺さったモノクロの風景 - 4年前の東日本大震災の風景 - についての最上さんの考えが書かれていた。

自分が絵を習っているのと私もまた伊藤若冲の絵に心惹かれる一人なので、
伊藤若冲(1716〜1800)の絵について書かれた部分に共感した。

【要約】
最初は極彩色の細密画が若冲の本領かと思っていたが、すぐに、白と黒だけの水墨画
や薄い彩色を加えただけの絵を数多く描いていることを知った。ほぼ白黒の世界なの
に、内側から力がにじみ出ている、これは何なのだろう… 心を奪われた。
彼の場合、同じような図柄で彩色画と水墨のモノクロ画と両方描いているものがあり、その対比ができる点で面白い。そうして対比していると不思議なことに気づく。私たちは普通、モノクロの「色のない」絵や写真を見たときに、「これは色のないウソの欠陥図像だ」とは考えない。色がなければないでその図像を味わうことができるし、明瞭すぎる色を奪われた画像だからこそ浮かび上がる美しさというものさえある。
けばけばしい色合いはもちろん、美しい色合いでも、色がはっきりしていればまずそこに注意が奪われがちになるが、それが薄れると、描かれた人や動物やモノ自体の発するメッセージが読み取りやすくなるのかもしれない。

私の通っている絵の教室(朝日カルチャーセンター・川西教室「野の花を描く」)の
片山治之先生の描かれる絵をすぐに思い浮かべた。

先生の絵は 白い紙に下絵を描き バックを黒の墨で塗りつぶし、
白い部分を浮かび上がらせる描き方で描かれている。

私の下手な写真撮影で申し訳ないが、
私所有の、2011年4月に発行された「野の花 通信 ・ Wild Grass Letter 」から
何枚か拝借し写真撮影してみた。


《片山治之先生の作品》
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センニンソウ

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トキソウ

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ショウジョウバカマ

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ヒトリシズカ

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上・ナツフジ
下・ウバユリ


毎年11月開催される『片山治之・野の花展』で出会う先生の作品。
いつも心の中で秘かに思っていた。

「全くの白黒の世界やけど、自然と色が浮かび出てくるように感じるわ」

“モノクロ表現の持つ豊かさ、奥深さ”
今日この記事を見つけ、読んでみて、あらためてそう思った。

モノクロの世界でありながら、
“見る人に色を感じさせることができる素晴らしい感性と技量”
を持った先生に巡り会えたことの幸運に感謝したい。

これからも 絵を描くことを楽しみたいと思う。


Commented by nagotu3819 at 2015-06-27 09:59
ポチポチさん、ごきげんよう。
白黒の絵は究極なのかも知れないですね。
伊藤若冲の細かい観察からの絵は印象的でしたが、白黒の絵は初めて目にしました。
そう言えば、散歩会の会報を14年間の編集時を思い出しました。初めはカラー刷りはなく、全部モノクロ。そこで挿絵の方に白黒で描いてね…とお願いしましたら、今まで描いたことが無かったので難しいと、感想を述べられたのです。2,3年描いては頂いたものの、彩色画をこちらで白黒にコピーしてみましたら、その白と黒の色合いの変化は、やはり彩色のままに微妙な変化を見せてくれました。
それから、先日個展をなさった方の絵をお宅に押し掛けて見せて頂いた時に、「今は水墨画を描いている」と言われました。その時の神髄は別にあったかも知れませんが、「彩色するよりもエネルギーを使わずに出来あがる…」と、言われました。ああ、それも真なりと思いましたね。
また友だちが水墨画をしていたので合同作品展に行きましたが、彩色しない難しさを感じたことを思い出しました。
とにかくどちらも魅力的です。
Commented by namiheiii at 2015-06-27 11:34
ちょっとドキッとする絵ですね。そう言えば夢の殆んどはモノクロですね。モノクロは現実離れしたもののように思います。それだけに別の世界があるのかもしれません。昔の銀塩写真は白黒でしたね。それでもこれが芸術だと確信していました。
Commented by Deko at 2015-06-27 17:00 x
素敵なモノクロの画ですね。どれも好きな花です。先生は花がお好きなのですね。あまり見かけられない花も画材として使われるのですね。センニンソウは野山に素敵に咲き乱れていますね。ボタンズルと花は良く似ていますが、葉が違いますので見分けられます。
Commented by PochiPochi-2-s at 2015-06-27 23:18
そよぎ様

こんばんは。

私たちの先生は、元朝日新聞者に勤めていました。
声の欄の絵のカットを描いていたそうです。
目を悪くされ、どうしようかなぁと思っていた時、ふっと目についたのが足元に生えている草花だった。そうだこれを描いてみよう。
白黒でと思ったそうです。白黒逆になる新聞の活版印刷を思い出し、今の技法を思いついたらしいです。
私的には、年々華やかな感じの絵になっているような気がします。

そうですか。彩色をするよりもエネルギーを使わないとおっしゃるのですか?でも、私には、白黒の方がずっとエネルギーを使い、難しいような気がしているのですが…

水墨画もそうですが白と黒の比率、余白の分量が難しなぁと思ってます。来年春、横浜で個展をされるそうです。
Commented by PochiPochi-2-s at 2015-06-27 23:24
namiheiiiさん、

こんばんは。コメントありがとうございます。
すみません、銀塩写真って? どのような写真なのですか?

そうですか、ちょっとドキッとされますか?
そうかもしれないと思う時もありますが、大きな号数の絵で見ればまた違った印象になるかもと思います。

言われてみて然り。
夢はモノクロの世界ですね。考えてもみませんでした…
Commented by PochiPochi-2-s at 2015-06-27 23:32
Dekoさま

先生の描く絵は、ほとんど花です。野に咲く花です。
教室のある日は、毎朝早くからご自宅近くの山に行き、 画材を採ってきてきれます。雨でも雪でも。頭の下がる思いです。

センニンソウは、白黒だから見事に描けるような気がします。
色をつけて描くには難しい。何度も挑戦しましたが、あのフワァとした上品な感じがでないのです。難しいわぁ〜‼︎
ボタンズルと区別ができるのですか?
Dekoさんは何でもよく知ってられるのですね。
いつでも教えてくださいね。
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by PochiPochi-2-s | 2015-06-26 17:40 | 絵画 | Comments(6)

生きている喜びを感じられるように生活したい


by PochiPochi-2-s