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「Out of Africa 」(愛と哀しみの果てに)

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今日も朝から雨が降っていた。
いったいどれだけ降れば気がすむのだろうか。
もともと雨降りはそれほど嫌いでもなかったが、少し腹立たしい気がしないでもない。
天気予報によると、
衆議院選挙日の日曜日は、台風接近のためにかなりの暴風雨が予想されるとのこと。
「昨日ほんの少しの晴れ間に、期日前投票をしておいてよかったなぁ」
そう思いながら、この前の教室で完成しなかったガマズミの下絵を一人で描き続けた。
主人が所用で出かけた静かな雨の降り続く午後であった。

ひとり、絵に集中しようとしたが、気にかかる事柄が次から次へと心に浮かんでは消えていった。考えれば考えるほど落ち込むとも多く、気分を変えようとふっとTVをつけたのだった。
突然、メリル・ストリープの声が耳に飛び込んできた。
あの彼女の英語の発音。心に残る声の響き。
はっとTV画面を見ると、映画「愛と哀しみの果て」の一場面が目に入った。
「ああそうだった。今日BSで再放送されるのだった。忘れていたわ」
しばらく見ていると、昔この映画を見たくてわざわざ映画館にゆき、すぐに画面に
入り込み、物も言わず夢中で最後まで見入っってしまったことを思い出した。





主人公カレンとデニスのラブストーリーも興味深かったが、私にとっては何よりもアフリカの大地の映像がとても美しく印象的であった。サバンナを自由に駆け回る動物や大地を赤々と染め沈んでゆく太陽、その燃えるような夕景、木々の黒いシルエット。ケニアの大地の雄大さに魅了されてしまったように感じたのだった。アフリカの空気感までも感じることができるような映画だった。

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「そうだった…」
この映画の原作者『カーレン・ブリクセンの世界』という特集記事を思い出し、
その記事が掲載された雑誌を本棚から取り出したのだった。
《私の部屋ビズ・BISES 1995 盛夏号 No.20》
1995年とは!
ずいぶん長い間、この雑誌を見ていなかったことになる。
「いつか行けるようになったら、この記事に出てくるようなイギリスのコッツウォルド地方や
オランダやデンマークに行きたいなぁ」と思いながら、この頃はこの雑誌を眺めていたのだろう。何度も何度も手にとったことがよくわかるほど表紙は擦り切れている。

原作者カーレン・ブリクセンはデンマークを代表する女性作家であり、20世紀のごく初頭に
アフリカに17年間暮らし、その特異な人生経験をもとに、のちに作家となった女性である。
特集記事には次にような小見出しがついている。『デンマークではアンデルセンと人気を分け、ヘミングウェーとノーベル文学賞を競う』『野生を尊んだエコロジカルな生き方は野鳥の森に生きている』
彼女はデンマークではアンデルセンと並んで国民に愛される作家であり、自然に恵まれたおよそ16ヘクタールの土地で‘62年に亡くなるまで暮らした。この土地は庭と林と草地からできており、広大な庭は鳥の楽園であり、古い木々の下はアネモネ、サクラソウ、スミレなどとびきり豊かな下生えで埋められているという。

特集記事をあらためて読んでみると、当時の私は、どれほどこのカーレン・ブリクセンという女性に憧れ、映画「愛と哀しみの果てに」に魅了されたのかがよくわかる。その自由さ、奔放さ、大胆さ、勇気等に憧れたのだろう。大学生、高校生、小学生の3人の子育てで時間的にも金銭的にもゆとりはなく、ただただ憧れ、いつかはきっとまだ見ぬ地に旅行したいと思い続けていたのだった。
その後、初めて一人で二度目のヨーロッパへ旅だったのは2002年6月。
この雑誌を見てから7年が経っていた。3人の子供たちは社会人(2人)と高校生になっていた。
訪れた場所は、イギリスでもなく、デンマークでも、ましてアフリカでもなかった。
長年の高齢のドイツ人の友人が住むドイツ・ハンブルグの街だったが。

小説や映画に魅了され、いつか行ってみたいと思い続け、実現できたときの喜び。
この映画もまたそういう類の魅力的な映画であった。
今日は、偶然、途中から見たのだったが、以前と同じように画面に入り込んでしまった。
アフリカの美しい大地がやはり印象的であり、アフリカの大陸を流れる風さえも感じられた。

気分は変わった。
さてもう一度ガマズミの下絵を描こうとテーブルについた。
しかし、もはやもう描く気力はなくなってしまっていた。
しかもすぐあとに主人も帰り、貴重なひとり時間は消えてしまったのだった。
だが、今日はこれでよかったと思った自分がいた。



Commented by sternenlied2 at 2017-10-21 02:04
「Out of Africa 」の映画は大好きです。
映画館でも何度も見に行きましたし、
DVDも持っていて何度も見ましたよ。
日本語のタイトルの「愛と哀しみの果て」には
ちょっと文句をつけたいですが(笑)
「Out of Africa 」の方が断然いいです。
原作も読みましたが、この場合は映画の方が良かったです。
でもカレン・ブリクセンの「バベットの晩餐会」は
映画も原作も素晴らしかったですね。これも大好きな作品です。
「バベットの晩餐会」を通して、デンマークに行きたいと思いましたよ。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-10-21 23:14
☆ sternenlied さん

そうですね。
私も「Out of Africa 」のタイトルの方が好きですね。
この映画もそうですが、アフリカが舞台になるものは何かしら
ワクワクするものがありますね。
確か、ジョン・ル・カレの「Constant Gardener」もアフリカが
舞台のワクワクする映画でした。新薬開発が絡んだスパイものでしたが、
最初から最後までワクワクしたものでした。本もよかったですが、
映画の方が綺麗な映像があり、原作以上によかったなぁと思いましたよ。

「バベットの晩餐会」は全く知りませんでした。
ちょっと調べて見たら興味深いですね。
そのうちに読んでみようと思っています。
教えてくださってありがとう😊
Commented by morigurasi at 2017-10-22 23:42
いい映画でしたね。ロバートレッドフォードもまだ若くてハンサムだったし(ハハハ)バベットの晩餐、は今までで一番心に残った映画。原作者のことは全く知りませんでした。それにしてもポチポチさんは物持ちがいいなぁ...
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-10-23 08:21
☆ morigurasiさん

おはようございます。
台風一過、やっと青空です。

まあこの映画好きでしたか?
私も大好きですよ。
バベットの晩餐会、いい映画らしいですね。
原作もいいとか。まずは読んで見たくなりました。

今から思うと気にいった特集の雑誌だけ残していますね。
記事はずいぶん古くなってしまいますが…
そろそろ処分をと考える雑誌がたくさんありすぎて困っています。(笑)
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by PochiPochi-2-s | 2017-10-20 21:17 | 日記 | Comments(4)

生きている喜びを感じられるように生活したい


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