人気ブログランキング | 話題のタグを見る

秋! - 冬ヴァージョン -

秋! - 冬ヴァージョン -_b0344816_22491525.jpg


名にし負(お)はば 逢坂山(あふさかやま)の さねかづら
人に知られで くるよしもがな

三条右大臣(25番) 『後撰集』恋・701

今朝庭の片隅に、色づき始めたさねかづらの実を見つけた。
「ああもう秋だな。季節が移っていく。植物は正直だなぁ」
そんなことを思った時、この歌を思い出した。


庭のさねかづら
秋! - 冬ヴァージョン -_b0344816_10062730.jpg



何時もなら徐々に秋がやって来るのに、今年は何だか突然秋になってしまったような気がする。
今が冬ヴァージョンへの替え時かと、昨日は部屋の模様替えに精を出した。
夏用の籐の敷物から冬用の絨毯に敷き替える。
今までなら何でもなかったことが、段々と億劫になり時間がかかるようになってきた。
「さあ、替えるぞ」
かけ声とともに始めたのだった。
終わってみると、やはり暖かく、夏とはまた違った気分で気持ちがいい。
いよいよ寒さに向かうのだという気持ちの張り合いもできるような気がしたのだった。
夜、秋の虫の音が心地よかった。



庭のコスモスも咲き始めた
秋! - 冬ヴァージョン -_b0344816_09572549.jpg







先日 たまたまかけたBSで「南アルプス縦走」の様子が放映されていた。
甲斐駒ケ岳黒戸尾根から入山し、仙丈岳、北岳、間ノ岳、塩見岳、荒川岳、赤石岳、聖岳
までの、10日間の縦走だった。


秋! - 冬ヴァージョン -_b0344816_22492705.png
(ウェブサイトから拝借)



「懐かしいなぁ。50年近く前、全く同じではないが、何度かこのコースを歩いたのだ」

そう思うとつい画面に見入ってしまった。
次から次へいろんなことが思い出された。

ある時は、友人のKさんの誕生祝いを仙丈岳のカールでしたこと。
雪渓の残雪で作ったフラッペ。
仙丈岳のお花畑がきれいだったこと。
赤石岳山頂では快晴だったこと。
360度遮るものはなかった。
白山と富士山が同時に見えたのは生涯忘れられないだろう。
あまりの嬉しさに、山登りの鉄則を忘れ、山頂で2時間あまりはしゃぎ回ったこと。
その後その日の宿泊予定地であった百間洞山の家まで大急ぎで走るようにして降りたこと。
聖岳を超え茶臼岳から光(てかり)岳までは台風の影響による大雨だった。
茶臼小屋をとばし光岳光岳小屋までいっきにずぶ濡れになって歩き、
光岳の山小屋にやっと辿り着いたこと。
その夜の激しい大雨のため光岳小屋ごと流されるのではないかという心配で、
一晩中眠れなかったこと。
光岳から寸又峡温泉までのとてつもなく辛かった降り。
トロッコの廃線跡を歩く辛さは並大抵のものではなかった。
気がつくとヒルに吸われ、ニッカーボッカーの足もとに履いた白い登山用の靴下が
赤く染まっていた。
寸又峡温泉でどんなにほっとしたことか!

楽しい時間だった。

「そうだった。
私にもこんな元気な時があったのだ」
そう思うと、再び元気を取り戻したような気になったのだった。

また、何故か星野道夫『旅をする木』のなかの、
「もうひとつの時間」を思い出していた。
この章の最後の段落に次にように書かれている。

僕たちが毎日を生きている同じ瞬間、もうひとつの時間が、確実に、ゆったりと流れている。日々の暮らしの中で、心の片隅にそのことを意識できるかどうか、それは、天と地の差ほど
大きい。


秋! - 冬ヴァージョン -_b0344816_13481532.jpg
当時の赤石岳山頂


秋! - 冬ヴァージョン -_b0344816_13484661.jpg
山頂で
流れる風を感じて
(いつもの如く顔がむくんでいる)



Commented by sternenlied2 at 2017-09-22 14:41
こちらも秋への移り変わりが早いです。
寝室の窓から見える木がもはや半分ほど
黄葉しているのには驚きました。
今の気温をチェックしたら、8度ですって!
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-09-22 17:54
☆ sternenliedさん

8度といえば、日本では真冬の温度です!
やはり緯度が高いだけに寒さも早いですね。
秋を楽しむ間もなく、
冬がどんどん駆け足でやってきそうですね。



Commented by haru_rara at 2017-09-22 20:57
そちらのコスモスはこれからなんですね。
ちょっとびっくりしました。こちらはもう終わりごろなので。

星野道夫さんの『旅をする木』、PochiPochiさんに教えていただいて読みました。
先日、BSでこの本をめぐる物語をやっていて興味深く観たところでした。

模様替え、私も昨日、下駄箱の敷物を裂き織の布にかえました。
Commented at 2017-09-22 22:20 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nick-3 at 2017-09-22 23:26
この番組、録画して今夜観ましたよ。
南アルプスは奥が深いので、なかなか登れない場所なので、行けないですが、チシマギキョウがあんなにたくさん咲いてるなんて、びっくりいいなぁって
思いましたよ。
それと、峰を流れる滝雲も凄い、今年所属団体の、撮影登山は塩見岳でそんな
滝雲を撮った写真を見ました、羨ましい限りです。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-09-23 10:40
☆ haru_raraさん

おはようございます♪
そうですね。
こちらはこれからですね。
わぁ、全然知らず見逃しました。残念!
この本は、私には何度も読みなおしたい本です。
読みながら想像するのが好きなんですよ。
先日孫の恐竜の本を探しに行ったとき、
「世界が見える 地図の絵本」というのを見つけ、
自分用に買いました。
眺めて、想像するだけでおもしろいです。
世界は広いなぁ〜と。

まあharuさんも?
この時期になると何かしら模様替えをしてみたいのですよね。
何でだろう?
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-09-23 10:49
☆ 鍵コメントさん

ご指摘ありがとうございました。
よく見てみると、先生の絵の上の方に「ホオズキ」と書かれているのに
私の説明では「ホウズキ」となっています。
無意識のうちにホウズキと打っていたのでしょう。
別に理由もなくホオズキとホウズキの両方を無意識に使っていました。
私の頭の中ではホオズキもホウズキも区別がなかったように思います。

調べてみたら、食用にするホオズキはホウズキと呼ぶみたいですね。
あと、私のように使ってられる方もいるようでした。
なお、ホウズキは魚の一種類のようで、漢字は同じ鬼灯を使っているようです。

調べるというのもなかなか興味深いことがわかり、参考になりました。
これからもよろしくお願いします。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-09-23 10:59
☆ nickさん

まあ、nickさんも見られましたか?
私が登った時は、チングルマやハクサンフウロがたくさん咲いていましたよ。

今は北沢峠までバスがあるのでは?
nickならすぐに行けると思いますが。
峠に山小屋もあるはずです。

当時は戸台口までバスであとは歩いて登りました。
北沢峠でテントを張り、甲斐駒ケ岳と仙丈ヶ岳をピストンしたのが南アルプス
との出会いです。それ以降、夜叉神峠から入り、早川尾根を歩き、最後はやはり
甲斐駒ケ岳と仙丈ヶ岳でした。で、甲斐駒ケ岳と仙丈ヶ岳は2回登ったことに。
頑張って登ってください。
Commented by Deko at 2017-09-23 15:12 x
お部屋の模様替えをされたのですね。唐の敷物から絨毯にすっかりお部屋は冬使用になりましたね。段々お部屋の模様替えをしなくなりました。障子を見ながら
張り替えどうしようとも思ってもいます。何時も障子がきれいな方がよい人が傍にいます。何もしない人です。南アルプス今思うと登れたのだなあと言う思いです。北岳間ノ岳農取岳ちょっと記憶も曖昧です。一緒に行った仲間が今でも
あの時dさんは体調壊して大変だったよと話しますが本人はすっかり忘れて
います。これから先行く道はあっという間なのでしょうね。日々大切にと思います。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-09-24 06:56
☆ Dekoさん

おはようございます♪
季節ごとの模様替え、私も段々と億劫になってきましたよ。
気合だけでしているところ大です。
「ちょっと前までは何でもなかったのにね〜」と思っています。

南ア。あの頃は山小屋も今のように立派なものではなく、
ほとんどが管理人なし、雨風を避けることができる避難小屋程度のもの
でしたから。テント、食料を全部持っての登山はきつかったですね。
体調を崩されたのも無理はないと思いますよ。
このTV放送の中で出てきた赤石岳付近の山小屋の管理人夫婦も、
この小屋を経営し始めたのは15、6年前だと言っていたような気がします。

そう、私も残された時間を気にするようになってきました。
ここへきて21年。これからの21年も元気に過ごせるかと考えると、
???…
日々大切にしたいですね。
名前
URL
削除用パスワード
by PochiPochi-2-s | 2017-09-22 14:05 | 日記 | Comments(10)

生きている喜びを感じられるように生活したい


by PochiPochi-2-s