繊細で美しく響くピアノの音 - レミ・ジュニエ ピアノ・リサイタル -
2017年 04月 30日
今日は4月30日。今日1日で4月も終わり。
考えてみれば2月14日のエイちゃん誕生以来落ち着いて日を過ごすことはなかったような気がする。予定をこなす中でも、心のどこかでいつもエイちゃんのことが気にかかっていたのだろう。いつの間にかひな祭りが終わり、いつの間にか桜が咲き、いつの間にか桜が散ってしまった。そんな感じである。今日の退院予定も、お兄ちゃんのリョウちゃんが風邪気味ということで2、3日延期となってしまった。まあなるようにしかならず、万全の体制で迎えたほうがいいだろうとは思うが、なんとなく疲れがたまってきた最近である。
さてそんな中、昨日は午後から 今月の予定の一つ、レミ・ジュニエ ピアノ・リサイタルに行ってきた。
午後2時ジャストに演奏が始まった。
プログラム1番は、ヘンデル『クラヴィーア組曲』。最初のタッチで彼の弾く音にひきこまれてしまった。「えっ、これがピアノの音?」そう思うほど柔らかく、繊細で美しい。まるでハープシコードから流れるような雰囲気の音だった。この中の第4曲サラバンドは映画音楽にも使われ有名である。
それからの1時間半余りの間、この初めて聴く、フランスの若手演奏家、レミ・ジュニエの弾く音に魅了されてしまった。一週間前の演奏会は最悪だったが、今日は心から楽しめる演奏会。
ピアノの音が好き、ピアノ単独の演奏会、しかも演奏される曲はほとんど知っていて馴染みのある曲ということが、私をリラックスさせ、楽しませてくれたのだろう。
会場は兵庫県立芸術文化センター神戸学院小ホール。この演奏会場は、8角形の形で舞台を客席が取り囲む、アリーナ形式という独特な形式のホール。417席。演奏家の息づかいまで聞こえると言われているが、逆に演奏家にとっては聴衆の息づかい、どれだけ自分に注目して演奏を聴いてくれているかという聴衆の気持ちや客席の雰囲気まで手に取るようにわかるのではないかと思うような会場である。以前一度ここで古楽器による室内楽演奏を聴いたことがあるが、心地のよいホールである。演奏家の気持ちと聴衆の気持ちが一致したとき、素晴らしい演奏会になるのだろうと思う。
プログラム最後の曲ベートーベンの『月光』には 特に 心を掴まれてしまったような気がした。プログラムの解説によると、「月光」のサブタイトルはベートーベン自身が付けたものではなく、ドイツの詩人レルシュタープが1832年に、この曲の第1楽章を「スイスのルツェルン湖の月光の波に揺らぐ小舟のよう」と表現したところに始まるらしい。ルツェルン湖を思い出しながら聴いたのはいうまでもない。イメージとは ある意味 恐ろしいものだと思った。
日頃の忙しさを忘れ、好きな音楽を聴ける時間。こんな時合わせな時間をこれからも持ち続けたいと思った日だった。
《プロフィール》パリ国立音楽院で学ぶ。エコール・ノルマル音楽院へ進んだ後、ボンの国際ベートーヴェン・ピアノ・コンクールで史上最年少入賞、2013年のエリザベート王妃国際コンクール第2位になる。2015年、ニューヨークのヤング・コンサート・アーティスト国際オーディションで優勝。2015年、デビュー・アルバムとしてオール・バッハにCDを発売。絶賛され、ディアパゾン・ドールを受賞、その年の優れたCDに贈られるディアパゾン・ドール・オブ・ザ・イヤー賞にも輝いた。
【プログラム】ヘンデル : クラヴィーア組曲 HWV437J.S.バッハ : パルティータ 第4番 BWV82ディアパゾン・ドールを受賞ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第2番ベートーヴェン : ピアノ・ソナタ 第14番 「月光」
〈アンコール曲」ショパン:マズルカ op.17-4
クライスラー/ラフマニノフ編曲:愛の悲しみ
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第9番 op.14-1 より 第2楽章
生きている喜びを感じられるように生活したい
by PochiPochi-2-s