再び、『ドナウの旅人』 - 宮本輝 -

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花芽?
挿し芽で育ったラショウモンカズラ


最近、月曜日の午後はかなり疲れる。
午前の水泳教室で、今年度のこの3期(1月スタート)からクラスが1段階上がった。
ずいぶん長い間このクラスで泳いでる人たちに追いつきたいと、
自分の力量も考えずに、必死になって泳いでいるからなのだろう。
平泳ぎもおぼつかないのにバタフライの導入までするのだから大変だ。
しかも、前のクラスとは泳ぐ距離が格段に違う。
25mのプールだが往復する回数が違い、泳ぐ密度が違う。
一番最後尾で泳ぐ私が泳ぎ始める時には、もうすでに 一番最初に泳いだ人が戻ってきている。何度泳いでも同じだ。私は休む間もなく次の課題で泳がなければならない。
その上、いつも使っている自動車が当分の間使えないので、電車で通わなくてはならないことも、その疲れを倍増させている。行きはよいのだが、帰りはかなりきつい。
水泳で疲れているうえに、プールから駅まで足取りも重く歩き、電車を途中で一度乗り換え、最寄りの駅からもう一度坂を登って歩いて帰る。
「ああ年をとったなあ」と感じる瞬間(とき)である。


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夜になってもまだ疲れは取れず、何もする気が起こらなかったので、
たまたまテレビをかけた。
BS4で「大人のヨーロッパ街歩き」が放送されていた。
今回はブルガリアのヴァルナが舞台だった。
その街を旅人が訪れ、その街に住む日本人女性がガイドをしていた。

ヴァルナは黒海に面した街。
黒海からの心地よい風にあたりながら、海岸を散策する旅人と日本人女性ガイドの姿が画面に映し出された時、何故か宮本輝『ドナウの旅人』を思い出していた。
『ドナウの旅人』の最後の場面の街が、同じ黒海に臨むルーマニアの小さな漁村スリナだったからかもしれない。

この小説には、以前にもこのブログで書いたが、
ドナウ川に沿って西ドイツ(当時)のドナウエッシンゲン(ドナウの源流のある街・ここからドナウ河が始まる)からルーマニアの黒海沿岸の小さな漁村までの3,000kmを旅する主人公の母親と彼女の年下の愛人、その母親の娘とドイツ人の恋人の2組の男女の心境の変化と成長を、旅の途中で出会う異国の人々、風景とともに描かれている。
当時、宮本輝は新聞小説に応募。当選し、昭和60年(1985年)6月から朝日新聞朝刊に連載され始めた。私は、偶然、この小説を新聞紙上に見つけ、長男と長女が小学校へ行き、1歳半の次男が一人遊びをしている朝のいっとき、この新聞小説を夢中になって読んだ。内容もさることながら、『ドナウの旅人』という題名が私の心を掴んだのだった。


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ドイツ南部に位置するドナウエッシンゲンに源を発し、そこから延々と6カ国を流れ、最後に黒海に注ぐドナウ河。その河に沿っていつか旅をしてみたいという途方もない夢を私に抱かせた小説だった。
小説の中で不倫の末、黒海を臨む、ルーマニアの小さな漁村スリナで、娘の母・絹子は息をひきとる。ただただ黒海から登る朝日を拝みたいという思いだけで、地の果てとも思われるこのスリナまで旅してきた絹子の思いを考えた時、私もいつか黒海から昇る朝日を眺めたいと思ったのだった。
強烈な印象を受けた。
いつか、この小説に出てくる場所を訪ねながらドナウ河に沿って旅をしたいという願いを持ちながら時間を過ごした。

結局行くことができたのは、ドイツ、オーストリア、ハンガリーまでだった。
いつかまだ見ぬ国、ブルガリアやルーマニアにも行ってみたい。
黒海から昇る朝日を眺めてみたいと思っている。
その時いったいどういう気持ちになるのだろうか?
想像はできないが、楽しみでもある。

また、20年ほど前、いま住む町に大阪市内から引越してきた時、大阪外国語大学でブルガリアからの女子留学生に出会ったことを思い出した。
「この"明治ブルガリアヨーグルト"はとってもおいしいです。特にフルーツ味が。
ブルガリアはヨーグルトで有名だけれど、ブルガリアにはこんなおいしいヨーグルト
はないわ。毎日一つ食べているのよ」
彼女はウインクしながらそう言った。
可愛い女学生だった。

この小説をはじめて読んでから、35年の時が経った。
しかし、いまだにまだまだ私に大きな影響を与え続けている。
この本は、そのような本である。

なお、この小説を書くにあたり宮本輝が取材旅行した時の紀行文集異国の窓から』も同時に読むと、さらにこの小説家の思いがよくわかるのではないかと思う。
小説『ドナウの旅人』の原風景、ソ連崩壊以前の東ヨーロッパの人々の暮らし等が、この紀行文の中に書かれている。


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🍀 🍀 🍀


エイちゃんが生まれてから1ヶ月が過ぎた。
現時点で、これといって悪いところがなく、体重もそれなりに増えているという。
毎日元気に手足をバタバタ動かしているようだ。
元気に育つことが最優先。
それなりに疲れを感じはじめてきた今日この頃だが、
「そんなことは言ってられないね」と、
おじいちゃんおばあちゃんは、病院への送り迎えと料理作りに精を出している。



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Commented by hanamomo08 at 2017-03-16 10:46
こんにちは。まずはエイちゃんすくすくと育っているご様子、よかったですね。お嬢さんもほっとなさっているでしょう。

ドナウの旅人面白そうですね。
夫婦とも日本人ですが、従姉妹がフランクフルトにいます。
いこうと思った矢先に母が倒れ、そのまま10年経ちました。
ベルリンの壁がなくなった頃から住んでいます。
夫は最近日本に戻りましたが、子供達が日本に慣れず、従姉妹が残っています。夫婦のあり方も様々です。

宮本輝さんがそのような小説を書いているとは知りませんでした。いい本をご紹介くださいました。

水泳・・・・いいですね。
かなりハードなスポーツですから疲れることでしょう。
運動不足になっている私、何かしなければ・・・・。
近くにプールがあるのですが、今は行かれないのです。
あ~もどかしい。
Commented by PochiPochi-2-s at 2017-03-17 16:07
☆ hanamomoさん

ありがとうございます。
日々大きく、無事に育っていることをありがたく思う毎日です。
昨日は、看護婦さんが動画を撮ってくれたと言って、その動画を
わたしに送ってきてくれました。その元気そうな様子にほっと
ひと安心でした。

一度海外で学校生活を経験した子供の、日本への再適応は非常に
難しそうですね。東京に住む下の弟の子供(女の子)がそうでした。
10年間のアメリカ生活の後、日本に帰ってきたとき、言葉の問題
でかなりしんどい思いをしました。言葉や生活習慣、考え方の違
い等が障害になるようですね。できるだけ早く家族で過ごせるようになればいいですのにね。難しい問題だと思います。

ぜひ読んでください。
小説のストーリーもおもしろかったのですが、ドナウに沿って旅を続けて行く途中に出会った国や人々の様子から色々と想像するのが楽しかったです。
そしていつか是非その場所に行ってみたいと思い続けていました。

水泳はいつでも始めることができます。
できるような時が来たら、始めればいいのですから。
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by PochiPochi-2-s | 2017-03-14 21:30 | 読書 | Trackback | Comments(2)

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