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「四人ぽっち」欧羅巴ズッコケ家族の旅 (1982年・夏) (13)

一、イブニング・ドレス

レマン湖畔の坂の街、ローザンヌとモントレー、中世の古城、それにボートツアー。モントレーでの3日はまるで夢のように過ぎ去った。


シヨン(シロン)城からの帰途、湖畔の静かなレストランにて早めの夕食。ワイン=グラスを傾けながら、たっぷり時間をかけて料理を味わう。囲りの観光客も皆ゆったりと語らいを楽しんでいる。誰に気遣うこともなく食事(ディナー)を楽しむ。空腹を満たすのみの「外食文化」に慣れ親しんだ私たちにとって、その楽しみ方に戸惑いを感じることさえしばしばあった。忍耐の時間は美酒と歓談の時間なのである。時こそ余裕(ゆとり)。それが西洋「食文化」の一断面なのだ。


異なる「食文化(習慣)」もさることながら、「衣の文化(習慣)」も興味深いものである。
ホテルに帰った私たち、翌朝の出発に備えて荷物整理・荷造りに忙しく、時はすでに9時近くになっていた。急いで子供たちを寝かせ、トマス=クック(欧州時刻表)を繰(く)る。(計画・立案係は妻の役)。
私は、清算のためフロント・デスクへ下りていった。と……まるで自分の目を疑いたくなる程、グランド・フロントの様子が変っているではないか。
カウンターのブロンド美人嬢、Gパンにブラウスのラフなスタイルが「トレードマーク」。その彼女が何と淡いブルーのドレスを着ているではないか。彼女のみならず、ホテルのレストラン、バー、いたるところ まるで「舞踏会」の如く着飾った男女(ペア)が闊歩している。「正装」して出直しと気を弾ませ部屋に戻ると、妻はすでに夢の中。その時起こさなかったことを、今だになじるのである。

二、 「専用車」

モントレーからグリンデルワルドへの列車の旅。いよいよスイスの山間へと旅は続く。7月26日(月)、モントレー駅より「パノラミック=エクスプレス(展望特急)」に乗る。天井の大半まで窓が開いた山間観光特別列車である。幸いにも「ユーレイル・パス」が効き、豪華な「一等車」に。
アメリカ人学生男女(ペア)、背中に大きなザックを背負い乗車。話を聞くと、夏休みを利用し、ヨーロッパケチケチ旅行とか。テントと列車が寝ぐらということ。そういえば、前々日、この駅で若い日本の女子学生が一人、列車待ちをしていた。ウィーンにいる友人を訪ねるとか。アメリカ人男女(ペア)といい、日本人女子学生といい、若い間の旅行は身軽で無理がきいてよいものだ。ヨーロッパ旅行中、数えきれないほど彼らに会った。
但し、先程のアメリカ人男女(ペア)、「ユーレイル・ユースパス」のため二等車へ、「スイス・ホリデーカード」をもったインド人観光客もそれぞれ二等車へ、車掌が案内。一等車は私たち専用車になってしまった。


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列車は、急勾配をゆっくり登りはじめ、レマン湖を眼下に見下ろす。あっという間に山間にはいり、緑の山裾と木造りの小屋(シャレー)の風景が続く。山間の小さな駅は、白壁にこげ茶の柱、ペゴニアの花。踏切では列車に手を振る老人の姿。いかにも牧歌的な風景である。


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約2時間後、ツバイスマン駅に到着。普通列車に乗り換える。車両のちょうど中間にガラスのしきり。「喫煙」「禁煙」の厳しいけじめなのだ。
「喫煙」側に陣どった母子、しきり越しに、マック、モッちゃんに愛想。母親はセーターの手編みに忙しそう。手編みに目のない妻はさっそく意気投合。「製図」を手に入れたはよいが、ドイツ語だらけ。セーターは未だ完成せずにいる。(続く)


* * *

【古いアルバムから】

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アメリカ人学生ペア
バックパッカー



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スイスの山間の景色
パノラミックエクスプレスの車窓から

この時から34年も経つが
車窓の景色はあまり変わらないことだろう。




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車窓から




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車窓から




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山間にある小さな駅




Commented by weloveai at 2016-07-14 00:42
「奥さま、お手をどうぞ」とご主人のリードで社交界にデビューするのを後から聞かされたのでは残念極まりないでしょう。
想像するだけでも華やかです、しかし私には気後れする世界の様な気がします。(笑)良い旅です。
Commented by PochiPochi-2-s at 2016-07-14 21:05
☆ weloveaiさん

ふふふ、そうかもね。気後れするかも。
でもちょっとだけ覗いてみたかったのは正直な話です。
それ用のワンピースを一枚だけ持っていましたので…(笑)
後にも先にも結構クラスの高いホテルでした…💦
「知らぬが仏」とはこのことかと思いました。
Commented by Deko at 2016-07-15 20:25 x
その当時の海外旅行はまだまだ日本人はおしゃれな格好で出かけていたように思いますがpochipochiさんのご家族は?旅行記をきちんと記されていたのですね。旅先ではひと時の夢幻のようなホテルもありますね。我が家も旅先で予約が取れておらず、泊められた部屋はVIPルームラッキーな1泊次の日には小さい部屋変更( 一一)でした。
Commented by PochiPochi-2-s at 2016-07-16 15:41
☆ Dekoさん

そうですね。多くの旅行者は綺麗な格好でしたね。
でもわたしたちは、長い旅行だったので主にGパンとTシャツ
でした。おしゃれなんて程遠かったです。ホテルは全く決めてませんでした。気に入れば何日か滞在し、それから移動という日程でしたので。行った先々で着くとすぐに駅のインフォメーションに並び、条件を並べ、提示されるホテルの中から決めていました。
子連れというのはこういう時にはありがたく、「先にどうぞ」と順番を譲ってくれる人が多かったです。
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by PochiPochi-2-s | 2016-07-13 22:28 | 「四人ぽっち」欧羅巴 ズッコケ家族の旅 | Comments(4)

生きている喜びを感じられるように生活したい


by PochiPochi-2-s