《さくら 》
「あらっ、桜じゃないの。描いてみたいわ」
先週水曜日、ほぼ1ヶ月ぶりの絵の教室があった。
部屋に入ってみると、
先生が、いつものように、いろんな花や木を持ってきてくれていた。
ミツマタ、ウグイスカグラ、ヒュウガミズキ、リュウキンカ、フキノトウ等々。
その中にひときわ目立つ“桜”があった。
毎年、桜は何種類か描いている。
ソメイヨシノ、オオシマサクラ、エドヒガン、ケイオウサクラ、ヤマザクラ等。
今年も すでに 3月中頃、我が家の庭で啓翁桜が咲いていた。
「描きたい!」
そう思ったが、体調が悪く、描く気にはならなかった。
「うん? この桜の色、えらい色が濃いなぁ〜」
先生が説明してくれたのは、そう思った時だった。
「この桜はなぁ、かつて料亭の庭があった場所に生えている桜なんやわ。
だから、ヤマザクラとかソメイヨシノと違って、園芸種の桜が混じってるんやと
思うわ。まあ、何という名前の桜かわからんから、ただ《さくら》としておいて」
今日その“さくら”の絵を仕上げた。
今年のさくらが描けて、ホッとした。