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キャステルの鉛筆

立冬。 いよいよ冬。

朝から雨。
落ち着いて絵を描こうと始めたが、
サネカズラ(別称・ビナンカズラ)の複雑な、淡い実の色に手こずった。


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《ビナンカズラ》


「絵の具では難しいなぁ。何か他に表現方法がないかな? 色鉛筆はどうやろうか」

そう思ったとき、このもうずいぶん昔 読んだ『キャステルの鉛筆』という
ごくごく短いエッセイを思い出した。

ドイツのキャステルというメーカーの鉛筆を愛用し、旅行にも必ず持って行き、
この鉛筆がないと途方にくれるかもしれないと言う作者が、この鉛筆との馴れ初め
を書いたエッセイ。

内容をかいつまんで話すと以下のようになる。

「コウボウも、筆をえらぶからね」
ある日、もうすでに亡くなられた(作者の)先輩が、楽しそうに、自分の引き出しから
キャステルの箱入りを1ダースくれた。文章を勉強しようと思っていた作者を励ますためだったらしい。キャステルは書き味がよく、これを使うと、文字ばかりか文章ま
で上手くなったような気になった。
行きづまったとき、ナイフを取り出して、キャステルを削る。削り味がなんともいえ
ず、芯をとがらせるころには、胸のつかえもおりている。赤鉛筆の赤がステキで、
しゃれた色。赤いキャステルで「速達」と書き込むと、封筒がいっぺんに華やぐので
いつも不思議に思う。キャステル社は、ニュールンベルグ郊外のスタインという町に
あり、筆記用具と製図用具が専門の店。そのうち一度訪ねてみたいと思っている。


「ああそうだった。
私もこのキャステルの色鉛筆を使っている」


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ずいぶん前、東京に住むことになった友人に 「向こうでも絵を続けて欲しい」
という気持ちを込めて、餞別として、以前から私たち二人がほしいと思っていた
透明水彩絵の具・“Windsor & Newton”を買ってプレゼントした、
そして、この色鉛筆も買ったのだった。



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エッセイの作者が言うように、そのタッチは柔らかく滑らか。
色は華やか。使いやすく、気に入っている。
時々、絵の具とともに使うときもある。

私もまた、何か気持ちを落ち着かせたいときや考え事のときなど、
ナイフ(最近ではカッターナイフだが)を取り出して、鉛筆を削ることがある。
“鉛筆を削る”という動作は、何か心を落ち着かせる作用があるようだ。

私も、いつか再びドイツへ行くことがあるとき、作者が思っているように、
私も、是非、ニュールンベルグ郊外のスタインという町を訪れてみたいと思った。


Commented by sternenlied at 2015-11-09 01:42
あら、まあ、その会社のライバル会社で長年勤めていました(笑)ニュールンベルグには歴史のある筆記具の製造会社が幾つかありまして、ファーバー∙カステル(日本では英語読みでキャステルと呼ばれているみたいですが)、は画材に力を入れ、私の勤めていた会社は製図用品に力を入れてました。シュタインにあるファーバー∙カステル社の建物はレトロで魅力的ですよ。今でもその古い建物があるのかどうか知りませんが。シュタインは馴染みのある街です。当時気に入ってる家具の店があって、時々行ってました。

子供の頃絵を描くのが大好きで、初めて60色のユニの色鉛筆を買ってもらった時は宝物のように大事にしてました。ドイツにも持ってきまして、今でも大事にしています。

その作家のエッセイ、読んでみたいですね。
Commented by fusk-en25 at 2015-11-09 07:44
絵の具でも染料でもなぜか日本と欧州は違いますね。
淡さというか。刺繍糸でも発色が違う。
平安時代からあんなに色の表現の多い国なのに。
どうしてなのか不思議な気もしますが、
おそらく北国の光線の違いなんでしょうか。
ただしミシン糸の強度やつれのなさはまた日本は優秀ですが。

私の好きな色鉛筆は英国製のderwent。
Commented by PochiPochi-2-s at 2015-11-09 22:56
fuskさま

この前ブログで書きましたが、例えばペンキですが、日本のものは品質は世界一だけれど、太陽光線が強いので色が褪せるということに重点を置いているらしいです。糸もそうなのと違いますか?
品質は抜群なんだけれど、色に関しては…です。
すべて太陽光線の強さに関係があるのでしょうね。

derwent、知らなかったので調べて見ました。
イギリスの色鉛筆ですね。
湖水地方のダーウェント湖畔に本社があるとのこと。
ダーウェント湖、懐かしかったです。
Commented by PochiPochi-2-s at 2015-11-09 23:03
sternenliedさま

あらっ、そうですか?
ステイドラーですか? 長男が建築学科だったので、彼からいらなくなった0.3mmのシャーペンと2b4bの鉛筆をもらいました。使いやすいです。特にシャーペンは細い線を引く時にとても便利ですよ。
シュタイン、行ってみたいなぁ。

60色の色鉛筆はすごいですね。
以前神戸でスイスの500色ある色鉛筆の展示を見たことがあります。どこの会社だったか忘れましたが、欲しいなぁ…と。
恨めしく、ただ眺めるだけでしたが…(笑)
せめて30色ぐらい欲しいです。

エッセイと言っても本当に短い文章で、1ページにも満たないような短さです。
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by PochiPochi-2-s | 2015-11-08 22:20 | 習いごと | Comments(4)

生きている喜びを感じられるように生活したい


by PochiPochi-2-s