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devon(デヴォン)

今日はもう21日。今年も 残すところ あと10日。
天気が回復し、朝からいいお天気だった。

しなければならない事が 目白押し。

先ずは絵の仕上げから。
「ハナミズキの実」と「ノイバラの実」
“丁寧に、ていねいに… ” と思うが、時間がかかる…
細い枝を 何度 描き直したことか!
午後、やっと完成した。

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《ノイバラの実》


「ああ そうだ。ヘレンさんに返事のメールを送らなくては…」

彼女のメールにあった『devon』
ずいぶん昔の婦人雑誌の特集を思い出した。
捨てることができず とっておいていた雑誌を取り出し もう一度 見てみた。


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1998年10月号。今から16年も前の婦人雑誌。
特集は『英国紀行』
ヴァージニア・ウルフと「ダロウェイ夫人」の世界・
アリスを探してオックスフォードへ・英国人の庭と暮らし・
英国の家庭料理とモダンレストラン


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「ダロウェイ夫人」(ミセス ダロウェイ)

突然思い出した。
この映画を見に行ったこと、映画の最初のシーンが あまりにも美しく 強烈な印象を
受けたことを。6月のロンドンの輝きの眩いまでの美しさを。
「なんというプランジ!」この言葉も印象的だった。

雑誌の記事よると、
「プランジ」とは、「飛び込む」ということで、1920年代の流行語でもあり、
将来を託してアメリカに渡ることもプランジだったし、まだ新しいプールで泳ぐ姿も
プランジだったらしい。ヴァージニア・ウルフは主人公に自分を投影した作品を多く
残しており、この『ダロウェイ夫人』もその中に一つ。6月のたった一日の出来事の
なかに、彼女は、現実と回想を美しく交錯させながら、読む側を作者の意識の奥深く
へと誘う。いわゆる「意識の流れ」文学の代表作であり、ジェームス・ジョイスの
「ユリシーズ」と比較されることが多いという。

しばらく後に、もう一つの映画を見たことも思い出した。


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「THE HOURS」
確か、場所も、時代も異なる3人のミセスダロウェイを 映画の中で描いていた
ように思う。おもしろい映画だった。

devonの県都はエクセター。トーキー、チャールストン、ダートムア台地、
ペイントン、ダートマス、キングスウェア等の街があり、南はイギリス海峡、
北はブリストル海峡に面している。
美しい場所だった。トーキーは、“イギリスのリビエラ”とも呼ばれている。

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トーキー駅


もう一つ忘れられないのは、ゴールズワージーの『林檎の樹』

「銀婚式のその日、アシャースト夫妻はデボンシャーのムーアのはずれを
自動車で飛ばしていた。ふたりが始めて知り合ったトーキーの海岸でこの一夜を
すごし、錦上さらに花をそえようというのである。…」

小説はこの文章から始まる。

物語は、大学生アシャーストが友人と共にダートモアを徒歩旅行中 寂しい村に
さしかかった時、フットボールで痛めた膝のうずきに耐えられなくなり、偶然
にも農家に泊めてもらう。そしてその家の娘のミーガンと愛し合うようになる。
友人は先に旅立ち、アシャーストはミーガンと将来を誓い合うが、二人には
明らかな身分差があり、祝福などを得られることは 決っしてない。駆け落ち
のためのお金を銀行から下ろすためにトーキーの街に行く。そこで友人の妹に
偶然にも会い、恋に落ちてしまう。結局彼は、ミーガンを捨てて同じ階級の女性を
妻にする。銀婚式の当日、妻とアシャーストが、小道が街道と直角に交差している
十字路の道端に 平たい塚を発見する。十字路に埋葬されているのは自殺者であり、
その墓に眠っているのが、かつて自分が裏切って捨てたミーガンであることを知る。

短い小説だか、私にとっては、心に強烈な印象を残す物語だった。
アシャーストと田舎の少女・ミーガンとの出逢いと別れ。
若き日の 学生のアシャーストの出来心から始まった恋。
アシャーストに捨てられ、絶望したミーガンの林檎の樹の下を流れる小川で自殺。
美しく花開いた林檎の樹(望んでも到達することはできない理想郷・身分の違う
アシャーストとの結婚)の眩さを描いている。

黄金なる林檎の樹
美しく流るる歌姫の声
黄金に輝く林檎の実!

ギリシャ悲劇『ヒッポリュトス』から。
林檎の樹(理想郷)というものは、この世ではいかに望んでも、到達することは
できないという意味で、この小説のテーマであり、シンボルでもある。

近いうちに、もう一度、devonに行ってみたい。
トーキーの海の色が、とても美しかったことを思い出す。

さあ、ヘレンさんへの返事を書かなくては。



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by PochiPochi-2-s | 2014-12-21 20:29 | 日記 | Comments(0)

生きている喜びを感じられるように生活したい


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